友人が店長を勤めるミスタードーナツが閉店することになったそうだ。ここのミスタードーナツには思い出がいっぱい詰まっている。公休日を利用して足を運んで、この目に焼き付けに行ってきた。この友人と出会ったのは学生時代のサンリオのアルバイト、それから数年後、わたしはカウボーイの夢を実現するために、学校をドロップアウトして、渡航費用を捻出するために昼はミスタードーナツ、夜はバーテンダーを週6日のフルタイムで働いていた。毎週火曜日は馬術クラブで朝から夕方まで、ずっと馬術を学んで泥まみれになって帰宅する毎日が1年続いた。これがミスタードーナツと歩んだ1年間であった。わたしが渡航資金を貯めてミスタードーナツを卒業する目処が立った頃、丁度友人が学校を卒業し、就職先を探していた。奇遇にも、ここのミスタードーナツのオーナーも新しい社員を採用する話をしていたのを耳にしていたので、思い切って紹介してみたのが彼がこの会社に入社するキッカケになった。今では先日ニュース番組の特集でチラッと写真が出ているような腕前だが、当時はわたしの方が、あらゆる店舗運営業務に精通していたので、トレーナーとして飲茶導入の指導などもしたことがあった。そんな彼が成長して、優秀な店長として働いていることは、わたしにとって、とても誇らしいことであり、思い入れも違う。いつだったか100円セールの前日に二人で、ナイトベーカーで仕事をしたときは本当に楽しかった。わたしは既に部外者であったから、友人と純粋にドーナツ作りに夢中になることができた。様々な志を持つ人々とも出会えた。ずっとベーカーをやっていた方は、アメリカでセスナの免許を取得し、当時はヘリコプターのパイロットになるために、早朝仕事をして、午後からフライトのトレーニングに励んでいた。そういう場所が1つ1つ、時間の流れの中でなくなってゆくことは、とても寂しいことだ。店内の雰囲気、当時のままの時計や壁に飾ってある絵、こっそり行ったので、友人は私がご丁寧にドーナツを食べてお土産まで買ったことも知らない。一生懸命働く後ろ姿をチラッと横目に、素晴らしい皆さんとの出会いと思い出に感謝しながら店を後にした。1月29日が最終日で、今日も100円セールをしていたのも何か縁を感じる。ありがとうミスタードーナツ。