伝説の社員のなれなんて、派手なタイトルですが内容はかなり実践的で役に立つ考え方ばかり、P51の「教育ATM機」に金を貯め込め!というところが非常に良い、著者、土井英司の祖父がなくなられたときのエピソードが書いてあるのだが、商売のアイデアで財を成した祖父が残した遺産がなんと294円という驚き。土井さんの祖父が残したものは、毎日のように、実家へ人々を招待し、ご馳走を振舞っていたことで、作られた「人脈」である。とても見習いたいことだ。つまりポイントは、遺産を残して、相続争いを避けるとともに、子供へは人脈というかけがえのない財産を残したことになる。「教育ATM」の考え方は、自己投資である。自分が学んだり経験したことは、将来何倍にもなる可能性があるだけでなく、税金すら掛からない。目減りすることもない。増えた知恵、教育で残す遺産というのはローリスク、ハイリターンで最も効率の良い投資活動かもしれません。
また自腹を切るということも重要な自己投資の一環だというのも非常に、その通りと言えます。P88にある「自腹を切らなくなったらバイヤーは終わりだよね」つまり、買う人の気持ちがわからない人が、売る人になれるはずがないというもの。服に興味がない、買わないひとが、服屋はできませんね。一概に自社製品だけを、着る事だけが大切でないこともうなずけます。クオリティが高いものを知らない人間が、クオリティが高いものづくりができるわけはないわけです。しかしものづくりに対して自負があるなら、自分で作ったものは当然袖を通すべきだとも考えられるわけで、MDの方々の着こなしや行動は注視すると面白いかもしれませんね。
この本の根底に流れているのは、ダンピングです。自らを安く売ることで、値段の割りにハイパフォーマンスであることで、注目され評価されるということを、うまく活用して人生を切り開いてゆく手法。私も実際取り入れているのですが、とにかく自分の労力を最大にして、他人が喜びそうな有益な情報を無料でバンバン提供すること。決して出し惜しみしないことが大切で、とにかく相手にできる限りの貢献をしてゆくスタイルを取っています。社内外から色々なメールとリクエストが飛んできて、日々インプットとアウトプットの連続ですが、非常に成長していると実感がわきます。最近10年泥のように働け発言が話題になっているようですが、どうせ10年泥のように働くなら、このダンピングスタイルがお勧めです。実際現在の仕組みが成立しているのは、香港赴任期間(単身赴任中)だからできるという環境面でのメリットも大きいのですが、家族と離れている分、自分が成長しないと申し訳ないのです。
合わせて自分にしか、できないこと、付加価値とは何なのかを突き詰めてゆかないといけないと痛感した1冊でもありました。会社を転職しようか迷っているなら読むといいかもしれませんし、これから会社に就職するひとも読んでおくと無駄に悩んだり、無駄な時間を使わずに済む可能性は十分にありますが、タイトルにもある5%という数字が、実は行うことの難しさを端的に表しているわけです。つまり皆、本は読むけど実行して、継続する人間とまでなると、そうそう存在しないということになる。いい話だったねぇ~、あっそうなんだ!で終わるわけです。いかに自分の人生に、学んだことを取り入れるかが肝心なわけですね。