この世は恐ろしく便利になり、私達を取り巻く環境は、この期に及んでも未だに快適を求めて変化し続けている。文明の利器は文明の創造者である人間を退化させたのか。そんなことが頭を過ぎる日々が続く。なぜ人々はここまで「思考停止」なのか、考える力が衰退する一途である本当の理由とは何か、重要なヒントは私達を取り巻く環境にあるのではないか。時空をこえて情報を伝達する手段を得た私達は、その手段を有効活用し、飛躍的にインプットとアウトプットを高める人類と、ひたすら情報に翻弄される、流される人類の二極化を進めた。質の高いコミュニケーションを発揮するはずのインターネットの発達が、対人能力の低下を推し進める。ネットを通じてしか対話ができない。インターネット以前の世界は、何をするのでも、顔を付き合わせて会話をすることが、一番のコミュニケーション手段であった。明らかに私達は、このコミュニケーション能力のトレーニングの機会を損失している。携帯電話の普及は私達のスケジューリング能力や時間管理のレベルを著しく低下させている。その日、その時間にそこに行かなければ会うことができない。今では、遅れてくることを連絡することで、ルーズな人間がルーズでないような錯覚すら起こす有様だ。柔らかくてカジュアルなファストフードは顎を退化させる。なぜか世の中で良くなってゆくのは、本来その恩恵を受けるはずの人間ではなく、人間が創造した創造物である。私達の周辺にはとてもカジュアルに便利という名のもと、私達から考える力を奪うものが溢れている。文明の利器に負けてはいけない。文明の利器を活用し、思考力を高めることだ。私はこう思うんだが、どうだ?!に答えてくれる、このインターネットは非常に頼もしい話し相手の内の一人である。答えを求めるだけの検索は危険な落とし穴の内の1つだ。まずは自ら考えるべきだ。