「くじけないこと」スリランカ上座仏教長老、アルボムッレ・スマナサーラさんの著書。足元をみなさいと説かれている真意を理解することに、数日間を費やした。物事の捉え方について言えば、一番自分の考え方に親和性が高い内容だと感じるとともに、片方から光を当てると、影が映し出されるような二面性や、世の中の矛盾に関してよく俯瞰されている内容であった。確かにアーティフィシャルな社会であることがわかっていれば、くじける理由はなくなる。
著者の導く方向で、Made For All、あらゆる人々の為の服作りの概念について考えるとき3つのアンチテーゼを投げかけることができるのではないかと、自らが持つ概念の対極に位置する考え方をぶつけてみた。1つ目、服を必要としない人々に対して、服を押し付けることにならないか、またその人々をアーティフィシャルな社会に引きづりこむ責任が取れるのかどうか。2つ目、服をすでに必要としている人々に、良い服を提供することが、より高度な競争をうみ、淘汰される企業や、そこに従事する人々の生活を奪う可能性を高めることになるのではないか。そして最後が、手ごろな価格で高品質なモノには満足できない、もっとよりよいモノを求める貪欲な人々をうみだすことになるのではないか。正しい考え方や価値観というものは、実は非常にあやふやで、正しいと思い込んでいる危険性をはらんでいることを知っておかないといけないことに気づかされる材料となった。このようなことを経営者に直接ぶつけた場合、どのような答えをするのかが、とても興味深い。
2011/03/03
くじけないこと
ラベル: 話題