駅前にあるこじんまりした本屋には、なぜかたくさんの顧客がついている。ただ自分が選んだ商品を店頭に並べているだけなら、どこにでもある本屋で、この規模では経営自体が厳しいというような大きさなのだが、なぜかたくさん人々が足を運んでいる。ここの本屋が他と一番違うところは、店主が付加価値を発揮する「接客」にある。まず私を例にとると、私の好みをよく知っている、前回何を買って行ったか、何を購読しているのか、興味が何かをよく知っている。Amazonのレコメンドに似た機能をちゃんと果たしている。そのうえ、その分野や書籍についてもよく知っているし、業界の販売動向まで教えてくれるので、Amazonより付加価値を発揮している。まとめると、キーワードを伝えると、1分以内にレコメンドする本を10冊並べてくれて、それぞれどこがいいのかポイントを簡潔に説明してくれる。そこで私が最近原書を読んでいるというと、ならば、この本は読むほどでもないと取り下げることを瞬時にやってくれる。買い物自体は5分程度で、知りたい情報があれば立ち話で様々な裏話や時代背景などを詳細に教えてくれたうえ、意見交換までやってくれる。まだ書籍の値段と中身の費用対効果までハッキリ伝えてくれるので本屋でウロウロするような時間の浪費もなく、とても短い時間で良い書籍や情報に出会うことができる。本屋の店主が持つべき付加価値とはこのようなことだと思う。大型の書店やAmazonと見事に差別化しているところが、このおじさんの本当に凄いところ。本当によく本を読んで学んでいる人間にしか、持ち得ない視点は大型書店の社員では絶対にできないことだし、Amazonでは第三者の書評に左右される。このおじさんがInternetを使いこなせたら、ロケーションの制約が取っ払われるのできっと大繁盛しそうなもの、404 Blog Not Found のようにアフェリで稼ぐこともできるのではないかなどと思ったりもする。