今週は日本からMD部と生産部の方達が出張で香港にやって来た。いつも感じるのだが、彼らの特徴は、モノに詳しく、子供のようにそれについて語るところだ。スペシャリストは当然、その分野で高い専門性がないと勝負できないわけだから、非常に競争も激しく、大変な思いをされていると思うが、一端仕事を離れると●●●オタクとか、●●●マニアなどのような表現がよく似合うと思う。私は雑貨が大好きで、何時間でも飽きずに帯店するのだが、彼らも同様だと思う。基本的にそういう好奇心が強く、それが仕事にも反映されているのではないかと感じる。スペシャリストというとクールだが、なぜか仕事を離れるとオタクという表現が似合う。決してマイナスなイメージではなく、そのような1つの事にのめり込む。子供が持ち合わせているような純真な探究心を持っていると表現したかった。
そしてふと感じたのだが、MDや生産に携わる方々は、会社がないと力を発揮できない。とてつもない知識や経験を発揮できる場所がないとご飯が食べられない。もちろん転職すればいいのだが、会社がなくなると結構つらいのだなと思った。
法律屋は自分で営業ができる。医者も開業すればよい。そう考えると店長というのは独立自尊の商売人ゆえに、やろうと思えばどんなことでも商売にできてしまう。そのように考えると意外と面白い。自分ひとりでご飯が食べられるかどうかというのは実はかなり重要だと思う。
昔、身銭をはたいて商売をしたことがある。簡単な収益構造は、ロイヤリティー27%、商品原価率50%、その他3%、利益20%である。仕入れ、価格交渉、上代や単品ごとの値引き率の上限設定、プロモーション、商品配置レイアウト、VMD、POSレジはなかったので、申し訳ないが従業員に頼んで単品ごとに売れの履歴をつけてもらっていた。月に1度在庫のカウント(これは棚卸にあたる)、これによりロス(損失)が確定できた。一応このような収支やデータは管理していて収益構造も把握できていた。はじめは取引会社(問屋)に信用がなかったので、現金での取引から開始した(この時の種銭は捨ててもいいと思っていた貯金分)、何度か取引することで信用ができ、売掛け、買掛けがはじまる。ここで覚えたのが月の利益を最大にするような仕入れを行うこと。これにより毎月10万円が自動的にポケットに入ってきた。今考えると非常にスモールなビジネスだったが、こういう商売が根本的に自分は好きなのだろう。やった分だけ跳ね返ってくる、こういう泥臭い仕事が本来は商売人が最も強みを持っているところだと思う。
スペシャリストと商売人が1つの円卓を囲んで話をすると、この人種の違いがにじみ出ていて、とても面白いと感じた。
2008/05/18
スペシャリストと商売人
ラベル: 人間