「豊かさが、日本人からハングリー精神と我慢強さを奪ってしまった」という
アサヒビールの名誉顧問である中條高徳さんと
「豊かさが、必ずしもハングリー精神を奪うものではない」という
グロービスの堀さんの対談の話。
堀さんは「自分が生まれてきた目的は何か?」「この人生で何を行うべきか?」
という問いかけをすることが重要であり、それにより自らの使命感に芽生え、
自らの任務を見出した人間の使命を果たそうと無限大のパワーを出すことができると
おっしゃっている。
つまり、豊かさがハングリー精神を奪った原因なのではなくて、
ハングリー精神や強靭さは、使命感を醸成させ、試練を与え続ける環境さえあれば、
身につくとおっしゃっている。裏を返すと、日本人から使命感の喪失、試練の回避が
我々が直面している問題になると言える。
これは先日ブログに書いたキャリアパスの内容にも通じる点があり、
自分が何者で、何を成し遂げたいのかという目標と全く同じことである。
堀さんはAQについても触れている。
米国の学者のポール・G・ストルツ氏が提唱するAQというのは、
Adversity Quotientの略で、逆境指数と訳されている。
IQが知能指数
EQが感情指数
AQは精神の強靭さを計る指数
AQ指数が高い人がリーダーである組織の方が、低い人がリーダーである組織よりも
継続的に高いパフォーマンスを出すのだという。
そのAQ指数は、以下のように5段階に分類しているのだという。
①試練に直面すると逃避(Escape)する
②やっとのことで生存(Survive)する
③ただ単に対処(Cope)するのみ
④しっかりと管理(Manage)する
⑤試練に当たって慈養(Harness)する
つまり、試練というものをきっかけと捉えて、どんどん成長していくのだという。
「どうすれば、そのAQを伸ばせるのですか?」という問いかけに学者は、
「小さいころから試練を与え続けるしかないのさ」
「豊かな親は往々にして、子供を楽させようとしてしまう」
「そうさせないで、試練を与え続けることだ」
堀さんが率直に質問するということに驚きを覚えたが、自分なりの答えを持ちつつ
BPを探るというのは非常に効率的であると思う。
「愛情があるならば、試練を与え続けるべきだ」と質問する前に自分なりの答えを
既に持たれており、学者の回答とピタリと一致しているところが素晴らしいと思う。
プレッシャーを受けながら、ぎりぎりの戦いをして、勝って兜の緒を締めて、
負けて泣きながら精進することによってのみ、精神的に成長できるのである。
負けることも良い薬なのである。
非常に身にしみる言葉であり、
最終的に極シンプルな結論に終結してゆく。
つまり目標設定が必要なのだ。
「人間の能力はどうすれば向上するのか?」
「人間の強さ、魅力はどうやって身につくのか?」
正しい問いかけと目標設定を自らに問い続けられる人間こそ
ハングリー精神や強靭さを兼ね備え、爆発的なエネルギーを内包させた人間になりうる。
子育ても同様、どのように親として使命を全うするかから、子供が同じように
自分に正しい問いかけを続けられるようになれるのか自立させることこそ
私たち大人の仕事ではないかと思う。
今夜はこちらの社長と、営業トップの方々と一緒に食事をする機会があり、
子育ての話も出た。このブログはたまたま打ち途中であったのだが、帰宅して仕上げるとともに
改めて、子供との人生の歩み方を考えさせられた夜であった。
2008/05/29
試練とハングリー精神
ラベル: 育児