住めば都理論
人間は自分と違うものを見たとき、ギョッとするが、毎日見ていると新鮮さがなくなり、何も感じなくなる生き物だ。ごく普通に考えられない受け答えを1つ、「貴方は、汚れきった東京湾や、川で水泳ができるのか?」という質問に、「もちろん大丈夫」という答え。でも香港の(一部だと思われる)人々は、そんなことはおかまいなしだ。毎朝季節を問わず、かなり多くの人々がビクトリア湾に飛び込んで泳いでいる。手前に視線をやるとゴミがプカプカ浮いているし、ご丁寧に排水処理場のあたりから、皆楽しそうに飛び込んでゆく。昔は水も今ほど汚れていなかったからいいのかもしれないが、とても真似はできない。もしかしたら、それは香港人にとっても同じで、今日はじめてこの光景を見た香港人にとっては、理解できないのかもしれない。小さい頃から毎日此処で泳いできた人達にとって、そこは今も昔も変わらない場所であり、最近少し水が汚いな程度の事なのだろう。なんどもギョッとしてゆくうちに、私たちは「住めば都」と言うようになる。端から見れば狂気であることもままあるのだ。そうやって順応という名の一種の全身麻酔をかけられる。
はじめに感じた違和感は書き留めないといけない、貴方の価値はその違和感の中にある。
2009/12/24
香港滞在記 第2話 住めば都理論
ラベル: 香港滞在記