書き出しから凄い、この世界はどうかしてしまっている。端的に言えば不条理で、全く狂っていることを前提にしなさいと言っている。それでも●●しなさい。それでも●●すべきだ。というのが本著の切り口であり、かのマザーテレサも触発された1冊である(正しくは10ヵ条に触発された)。逆説の10ヵ条は非常にシンプルだが、忘れ易く、また言うのは簡単だが、行うのは困難である。壁に貼り付けて毎日眺めながら、脳に刷り込むのも1つの方法(トイレが意外にいいかも)だが、既に60年代には、世界はどうかしてしまっていたことになる。いやそれよりもずっと前からどうかしていたのではないかと考えると、人間自体がどうかした生き物で、どうかしていなかった世界が存在していたか自体が危ういのではないかと考えついた。つまり我々は産声をあげた、その日から、ようこそ狂った世界へ!なのである。最近激やせで、癌が再発したのではないかなどと噂されているスティーブジョブスが言うように、「己の内なる声に従って生きるのか、誰かの思惑の中で生きるのか」、そこには選択する自由がある。生き方を選ぶという行為は自由という反面、厳しい現実でもある。逆説の10ヵ条を信条として生きるも良し、狂った世界に中指を立てて生きるも良し、狂った世界にどっぷりつかるのも、また一興ではないか。ただ、逆説の10ヵ条の境地に立てれば、狂った世界なんて、おかまいなしだ。
1.人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
それでもなお、人を愛しなさい。
2.何か良いことすれば、隠された利己的な動機があるはずだと
人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
3.成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
それでもなお、成功しなさい。
4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
5.正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6.最大の考えをもった最もおおきな男女は、
最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落されるかもしれない。
それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7.人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。
それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
それでもなお、築きあげなさい。
9.人が本当に助けを必要としていても、
実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
それでもなお、人を助けなさい。
10.世界のために最善を尽くしても、
その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。