店長職での有事で一番影響を受けるものに「人事」がある。
これは外的要因と内的要因による人事の2パターンあり、内的要因とは、つまり本人の問題によるものや集団の中での問題など店舗内での問題である。外的要因は本部や上長からの命令によるもので、検討の余地はあってもなかなか、店舗側の意見が通るものでもないのが現実である。私は常に人事については危機管理を実施するようになった。昔新人店長時代に極端な人員不足の状態で、どうにもこうにも店舗運営がまともにできなかった経験や自分が全ての仕事をトップダウンでこなしてしまったために部下が全く育たず、ひとりでフル回転する日々などの経験から身についたことなのかもしれない。新しい環境、つまり私自身が異動によって着任したときに、まず人事を把握する。どんなひとがどんな思いで、此処にいて、どんな強みや課題を持っているのか、そしてこの店舗で描く理想の組織像を考え出す。その理想、あるべき姿に近づけるためのトレーニングを日々繰り返していく。これだけでは実際店舗運営はうまくいかない。例え理想の組織を描いて実現したとしても直ぐにその組織は切り崩されてる、つまり外的要因の人事発令によって育てた部下が抜けるということが常に発生するのである。また突発的に退職や病気など不可抗力によってトップチームの重要なポジションを担っている人間が抜けてしまうことすら現実発生しうる。店長職の有事である。これを切り抜けるために常に有事に備えるように組織を描くようになった。
①今描く、将来のあるべき組織像
②それを実現すべくGAPを埋める育成を計画していく。
③有事の想定をする成熟したチームのどこが抜かれるかを考え抜く
④チームの中枢が抜かれた状態から、その後どのように人が動いていくのか考え抜く
⑤自らの影響力が及ぶポイントを発見する
⑥今描く将来のあるべき組織像と同時に⑤のポイントとなるであろう人材育成に集中する
③はほとんど100%的中する実際、今年の春に受け入れた新入社員2名は異動した。
これは受け入れる当初に想定していたことである。めでたく栄転なので本人達にとっては凄くいいことなのだが、店長職につくものはその店舗で働く全てのスタッフの安定や、その店舗に来てくれる顧客のことを考えなくてはならない。このときは1名残る可能性はあるかもしれないなぐらいは考えていたが、2名抜けるのは濃厚、他の社員が自店に異動してくれば管理職を増やすことができるので助かるかもしれないが、抜かれて受け入れなしが私が出していた結論であった。一番厳しい状況を想定していた。
それに合わせてポイントとなる人物をグリップし早々に育成の下地を作っていた。
④は一番厳しい状況を想定していたが、他店から社員が1名異動となり、管理職が増えることになったが、更に突発的な人事で2ヶ月で他店へ異動となり、最終的に3月の想定に戻った。
間違いなく⑤の自ら影響力が及ぶポイントとなる人物を育成していなければ自店は崩壊していたことになる。そんな現状は既に③の有事に備えた組織像を描き水面下で着々と考え抜くサイクルにつなげていく。このようなことを、この1年できっちり身につけました。
近隣店舗の人材にも関心をしましますし、自社を面接した学生も将来、自社に戻ってくる可能性だって十分にあります。このようにポイントとなる人材に常にアプローチし可能性を最大限に探り続けることが有事のリスクヘッジにつながると私は考えます。
2007/11/11
店長職の危機管理について
ラベル: 仕事