2007/10/27

ベネチア案内人

ヨーロッパを一周したときにベネチアに1週間ほど滞在しました。なんでベネチアかと言うと「ジョジョの奇妙な冒険」という漫画を中学生ぐらいの時に読んで物凄く影響を受けたのが動機で欧州は右回転で回ろうぐらいにしか考えていなかったので、ふと足を運んでみました。その前の国がスイスで大雪でしたので、イタリアの暖かい気候はちょっと感動しました。それまでは、北欧とか比較的北を回っていたので、とにかくコートで寝ていても底冷えして命の危険を感じていましたから、ベネチアの空気の暖かさにはびっくりでした。とはいっても寒いんですよ。あくまで北欧やスイスの山の上と比較しての話です。べネチアの水の色はエメラルドグリーン、丁度わたしが到着した日は雨が降っていて、海の色がヒスイのように雨とぶつかって音を立てていたのを記憶しています。ベネチアの交通手段はバポレットという水上バスで色とナンバーで行き先やどこ経由か分かれており、車は走れません。運河に橋が架かっていてヒトがあるけるぐらいしかない幅がほとんどなので、必然的に車はここに進入できない。よって交通手段は水上バスです。よく皆さんが東京ディズニーシーなんかで乗っているゴンドラは観光客メインのもので、地元の人々はそんなの使いません。建物もジャングルのように建てられており、空が見えないんです。だからよく道に迷ってしまうんですが、実は家をよく見ると家に行き先がペインティングされているので主要な場所は簡単にたどり着けます。これは意外に知らないひとが多いみたいです。気づいちゃいました。ベネチアのルーツ、元々はトルチェッラ島に人々は住んでいたようですが、そこから埋め立てを行い現在のベネチアに移り住んできたようです。そのとき、そこで使っていた石材や木などをせっせと運んで土台を作ったわけなんですが、それが原因で地盤沈下を起こして結構危ういみたいです、地元の方がおっしゃっておりました。その手前にはムラーノ島とブラーノ島があり、ガラス細工(ベネチアガラス)の職人達が集まって工場をかまえている島と一般の方が住んでいるカラフルな島になっています。カラフルな家がなんであんなにカラフルかを地元のひとに訪ねたんですが、昔からですと言ってました。単に目立ちたがりなのか?そして世界的に有名な謝肉祭が開かれるこのベネチアですが、ベネチアマスクはご存知でしょうか。昔カジノに出入りできるのは特別階級の方達だけだったそうですが、身分を隠して潜り込むためにマスクをしたとかしないとか、色々なエピソードがつきない島ですね。また万博の跡地があるのですが、このパビリオンが世界の有名な建築家が手がけたものが多く建築家達にとっては宝の山みたいなものらしいです。かなり危ない雰囲気でトイレには薬を打った注射器などが捨てられており荒廃しておりますが、それでも見事な建物ばかりなので建築系のひとは一見の価値ありです。ダリの博物館があったり、そんな楽しい島での出来事をいくつか、そもそもベネチアに着いたのはクリスマス前なんですが、クリスマスは店も宿も全てが営業ストップするという恐怖があったので、安宿のマスターに頼み込んで連泊させて頂きました。これがまた過酷で、ユースホステルという安宿にはたまに共有キッチンがついていないところがあり、ここはまさにキッチンなし。キッチンなしということは自炊できないので、単純にランチもディナーも割高になるということ。ここのディナーはパスタやら何やら温かくて旨そうなものばかり、わたしはお金もない貧乏バックパック旅行のため、近所のスーパーで火を使わないで食べられるものをたくさん買い求めてクリスマスを乗り切れるようにロッカーにストックしていました。そのラインナップはサーディンの缶詰、硬くてまずい安いパン、ハム、チーズ、なんと日本円で100円ぐらいの1リットルのテーブルワインパック白と赤たくさん。皆おいしそうに食べてましたね。わたしはいつも固いパンとサーディンの缶詰に激安ワイン、しかもこれ2日目になると蓋の粘着部分が弱くパチッと留めるプラスチックのところが取れてしまう(笑)粘着力がたまたま弱くて売り物になったのは、ポストイットですが、ワインの蓋ぐらいイタリア人なんとかしてくださいと思ったものでした。この宿にしばらく滞在していたのですが、面白いことにずっといると入れ替わり立ち代り旅人が来るわけで(当たり前)ローマから流れてきたり色々な経路を通ってベネチアを通過していく人間模様を感じることができた。たまに日本人が声を掛けてくることがありました。毎日缶詰食べているべネチア案内人がここの宿にいるから行ってみなとお勧めをしたようで、何度か声を掛けて頂きました。ベネチア案内人と呼ばれるぐらい土地には詳しくなっていたんです。なんせ疲労骨折するぐらい毎日12時間以上ベネチアを隅々まで歩き回り情報収集しておりました。ベネチアマスクの店は全部見ましたし、お店で美味しい所とか(安くてうまい)簡単な歴史、近道、裏道、バポレットの効率的な乗り方、そしてこの宿のお隣の「レストランイグアナ」について、文字通りイグアナがいる店でカウンターの椅子が馬の鞍なんです、わたしはカウボーイになりたくてアイルランドにファームステイしに行ったほどなのでこれは相当お気に入りでした。そんな魅力いっぱいのベネチアで本当に色々な人と出会い、その中でも印象的だったのは、皮の貿易をやっている方、サラリーマンで長期休暇を一人旅している方、交通事故で車が横転して木に激突して生きていた方(実はうちの子の名前はこの人の名前と全く同じ)クリスマスのベネチアはゴンドラに仮装したサンタがたくさん乗っかり大騒ぎします。素敵な町でした。

最後にあの宿の未だに解けない謎はトイレに便座がなかったこと。
便器のみ座るところなし、蓋もなし、大はどうするのがイタリア流なのか?
それとも儀式、壊れた、経費節約、未だにモヤモヤしてます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%8D%E3%83%81%E3%82%A2
(ベネチア詳細)

旅は人を成長させます。
命さえ落とさなければ、我が子も未知の世界へ強制投入したいものです。

ジョジョに出てくる吸血鬼⇒インタビューウィズバンパイア⇒フランスのカタコンブ(地下墓地)という繋がりで実はパリのカタコンブ(最近ホラー映画になっていますが)にも立ち寄りました。
戦時下では、爆撃から身を守るために潜んでいたこともあるようですが、なんとも地下深くに取り残されるのではないか、二度と太陽を拝めないのではないかと恐怖を覚えました。機会があれば体感してみてください。