2011/04/27

必読の書

歴史を読み解いてゆくと、その時代の文化人は読んでいて当たり前というような必読の書というものが存在している。つまり世界には、そのような時代時代の英知の結晶が先人から残されており、読み継がれながら、時代にそぐわず姿を消したものや、再び脚光を浴びて世に登場するものがある。では現代の世界の必読書とはなんだろうか。人間がやってきたことを考えると、意外に幅を狭いので、戦いで勝つ方法や、人として生き方、人を束ねる方法、結局は人間にとって常に付きまとうお題は、このあたりになる。時間軸とジャンルで整理して、俯瞰してみれば、面白い必読書マップが作れそうだ。本質をついた内容の書籍は10年経過しても色褪せないのは、原理原則に基づいているからだろう。そして読書という習慣も、同じように学ぶスタイルとして普遍的だ。

おもしろくもない世の中

世の中は公平で、エキサイティングで楽しいことが溢れていて、努力すれば報われて、などという思い込みを軸に、この世界を覗いてしまうと多分に失望する。そもそも、この世は、全く逆で決して面白くもなんともない。人間が作り上げたアーティフィシャルな社会は矛盾、でたらめ、そこに私利私欲が溢れかえっている。悪人を善人に仕立てる法律、善人を悪人に陥れるルールなんてものは即席で作り出せる。では、そんな世でどう生きてゆけば良いのかということだろう。軸を移せばよい。偏差値のような発想で、真ん中を世間一般、そこより上か下などという考え方は一切捨てる。軸は己の中に作るものだ。どう生き、どう死ぬか、それは自分が納得できればそれで万事良し。

革命を彩る3種の人間群

革命初動期:詩人的な予言者の出現、偏癖の言動
革命中期:卓抜な行動家への伝播、奇策縦横の行動
革命後:処理家、果実をもぎ、先駆者の理想を容赦なく捨て処理可能な世に

非常に稀なことに、この3種の人間群が松下村塾に備わっていた。
これを現代に当てはめてみても、革命にはどのような人物像が必要かがよく理解できる。中東での混乱は、処理家の不在という点が大きいのではないだろうか。初動から中期にかけては、ソーシャルネットワークやモバイルがその役割を補完し、未熟な予言者や、卓抜とは言えずとも、志ある者がテクノロジーを後方支援として上手に活用することで、革命の導火線に着火させるぐらいのことはできるようになっている。肝心なのは処理家の存在だ。理想を唱えるものと、それを実現しようと幕を切って落とすことはできても、先駆者の甘い理想を容赦なく捨て去り、処理可能な革命の世に調整できる人間がいなければ、大きな混乱と混沌を産み出すだけだ。革命には3種の人間群が不可欠である。

獄中生活

丁度、世に棲む日日で、吉田松陰が獄中で過ごした時間について色々と描写されていたところに、堀江貴文さんの実刑判決のニュースが流れてきた。この2年を越える獄中生活で、おそらく堀江さんは、相当量の書籍を読破するだろう。裏を返すとこの時間はコアタイムと考えられる。ある意味、浮世から離れることで飛躍的な成長機会を手に入れられることもある。日本語圏と日本語の呪縛から開放されることでも、大いに色々なことを吸収できる。孤独は人間を成長させる1つの要素だと考えている。

新浪微博

新浪微博をご存知だろうか。新浪微博は中国版のTwitterである。実刑が確定した堀江貴文さんが自身のブログでも書かれているように「これからは中国の時代」ということは、殆どのビジネスパーソンは肌で感じているはず。英語公用語化の次の波は中国語という流れは、今後10年ぐらいは避けられそうにないだろう。Be uniqueであるためにはで考えると、英語と中国語を身につけたビジネスパーソンの付加価値は高くなりそうだが、言語はあくまで手段であることを考えると、その言葉によって何を伝えられるのか、具現化できるのかが最も重要なことだし、ニッチなところでも競合がいないところなら、それもBe uniqueになる。振り返れば2007年あたりからBlogというものがインターネット上で浸透してきて、2008年ぐらいに過熱具合はピークだったと思う。書評を書いて、そのアフェリで結構な金額を稼ぐ人々もいたようだ。その波が中国にも来るのではと思い。中国語で書評を書いてみたりしたこともあったが、もしかしたら、これからがそのような時期になるかもしれない。既に殆どの日本人はTwitterという言葉を聞いたことがあったり、実際に使っている人も多いと思うが、新浪微博は中国語圏で大きな影響力を発揮してゆくのではないかと思う。私も試しにアカウントを作り、早速つぶやいてみた。中国語はもちろん、英語も日本語の入力もできるので、好きな言語でつぶやけば良いが、折角中国語圏のソーシャルネットワークなので中国語の練習も兼ねて、つぶやいていこうと思う。ところで中国語の書評書いてリンクを貼っても、Amazon.jpにリンクを貼っては、肝心の買いたい人々が日本語で購入できないということ。Amazon.cnにリンクを貼るのが正解だ。

2011/04/26

世に棲む日日(二)

さっさと読んでは勿体ないと思い、よく噛み締めながら読む全四巻のうちの2冊目。生涯を賭ける、高杉晋作が松陰から受け継いだものに、たっぷりと肩まで浸かって感情移入する。英語もやらなくてはいけないし、ほかのインプットも疎かにはできない。仕事もガチンコ、そんなギュウギュウ詰めの毎日が良い。政経塾の情報もタイムリーに頂戴したりした。今後は地域のコミュニティにも積極的に参加し、社会に貢献してゆけたら尚良い。

2011/04/21

世に棲む日日(一)

司馬遼太郎著書、世に棲む日日、今日は夕方いつものようにNewsweekを買いに行った書店で、吉田松陰についての立ち話になった末に、じゃあ何か歴史が歪められていないちゃんとした客観的な立場で書かれた本はないか、ということになり、取り敢えず、これは大丈夫ということになり手に取った1冊。丁度吉田松陰と松陰後に興味があったので、良い機会と思い購入してみた。あと3冊あるので、楽しみだ。それにしても書店の店主、よく人の名前覚えているな、ここは取り寄せでも名前を聞かないという凄い店なので、名前を名乗った覚えがない。

2011/04/20

ユニクロ帝国の光と影

ファッション流通ブログde業界関心事というアパレル業界ではわりと良く知られたブログがあり、そこで取り上げられていたので、書店でチェックしてみたら在庫があったので、興味津々で読んでみた。どちらかというと批判的な立場でユニクロという会社を調べてみたような内容であったが、どこのの企業にも光と影みたいなものは存在する。というよりむしろ人間には光と影の部分がある以上、なんらセンセーショナルでもないというのが率直な感想。ZARAやH&Mの大型店の店長と交流があるので、どの企業にも良い点、課題点はあり、それぞれが納得した上で、そこで仕事しているわけだから本を読んで騒ぐこともない。1つ物凄く滑稽だったのは、7年ぐらい店長をやって毎月300時間を超えて働き、本すら読めないと労働環境について語る元店長。それは自身のレベルが低すぎるという話であり、自ら環境を作り出せないというのはマネジメントとして失格、それを創り出すのが仕事であり、あるべき状況へ改革するのが使命なのではないでしょうか。そもそも急成長している企業が、理想通りの人事制度や評価制度、労働環境をはじめから整備できているわけもなく、そのようなものをより良く創り上げる、もしくは創り直さなければならない。唖然とする内容もあったが、改めてユニクロという会社を理解するきっかけになる1冊。ZARAという別解も、とても参考になった。

月に1冊は読書とは言わない。

改めて思う。月に1冊は読書とは言わない、新人店長時代に衝撃を受けた言葉で、それ以来、月に1冊本を読んで、世の中をわかったつもりになっていた恥ずかしい自分を思い出す質問がこれ。「月に何冊ぐらい本を読みますか?」、現在の私ならノンジャンルで日に2冊ぐらいは読まないといけないと思う。それぐらい物事を知らなさ過ぎる。知る手段が読書だけではないが、基本的なインプットとしては読書は手軽で費用対効果も高い。実は会社で要求される課題図書はありがたい。月に30冊ぐらい送って欲しい。学びたい人にとって、これは献本だ。1冊2000円前後で30冊だと60000万円のコストを会社が負担してくれるのなら、こんな幸せなことはない。そうしたら、自分のお金で今度は違う自己投資ができるのに、会社は既に読んだ本ばかり送ってくるもんだから、勿体無い。

ダントツ経営 コマツが目指す日本国籍グローバル企業


坂根正弘さんの著書、ダントツ経営 コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」を読んだ。この「ダントツ」という文字が目を引いたこともあるし、コマツという重機を扱う企業についての知識もなかったので、気になったので即購入して読み進めてみた。私のコマツのイメージといえばブルドーザぐらいであったが、知れば知るほど魅力的な会社ということがわかった。以下、備忘録としてキーワードを書き出しておく。継続してもっと深堀してゆくべき内容が多く含まれていた。


  • フルーガル・イノベーション(金をかけないイノベーション)

  • 地域経済活性と企業誘致(中国経済の行政)

  • 成長とコストの分離

  • 投資機会とバブルの関係

  • ICTシステムというアイデアの転用

  • ダントツ商品開発にはまず何を犠牲にするかという発想が必要

尊敬する方が以前にコマツで仕事をされていたことを知っていたので、目にとまったということは、やはり1つの機会であったと感じるとともに、全く別の産業から、視点を取り込んで仕事に活かしてゆくということは、単に延長線上の成長ではない、何かを必ず自分にもたらしてくれる。コマツが向かうところにマーケットは存在している。

結果を出し続けるために




ご存知、将棋棋士、羽生善治さん著書の「結果を出し続けるために」、結果を出し続けているだけに説得力のあるタイトル。この本を読んで、プレッシャーに対しての理解を深めることができたのは収穫であた。プロ棋士がなぜ、そこまでしのぎを削る極限状態の中で、そこまで集中できるのか、非常に言葉には表しにくいが、感じることもできる。学んだことは3つ。


  • あと一歩という時が一番しんどい、しんどいということはあと一歩の地点である

  • 選択をする場合、その選択が間違いであったとしても納得できるかで判断する

  • ゴール志向で枠にとらわれず、その枠を突き破る可能性を常に探る

極度の緊張、プレッシャーについて羽生さんがp82に書かれている内容で、駒がちゃんと指せないほど、手が震えたという。実は私も手が震えてどうしようもなかった事がたった一度だけある。それは香港赴任中の会社の理念に関する暗記のテスト。今でもその時の手が震えた感覚が残っている。このテストは当時全店長が集まった会議と合わせて行われたテストだったが、実は私は当時の部下と、このテストを日本語でなく、広東語で受けて満点を取ると約束をしていた。どうしてもやればできるということを証明したかったし、同じ店長というポジションで働く仲間にも刺激を与えたかった。テスト当日まで相当に勉強を積み重ね、準備は万全だった、必ず満点が取れる確信を持っていた。ところが試験開始とともに、鉛筆を持つ手が極度のプレッシャーのために震える、勝利を確信しているために、どんな些細なミスも許されないという状況に自らを追い込んでいたのだろう。結果は満点であったが、そのときなぜ、そこまで震えたのか、よくよく考えもしなかったが、羽生さんのおっしゃる事は、つまりはこれだった。プレッシャーを好きな人はあまりいないと思うが、プレッシャーの無い人生とは、実は全く人間として何かに挑戦していないことの裏返しなのかもしれない。折角頂いた人生を放棄しているのかもしれない。

2011/04/11

商品構成

渥美俊一さんの著書、商品構成、チェーンストア理論シリーズのうちの1冊。これが丁度、現在自分が取り組んでいる売場改革に大いに役立った内容であり、この1年大型店の店舗運営で蓄積されたモヤモヤ感をすっきりさせてくれる手助けとなった。振り返れば、ひたすら部下育成と人事の問題で費やした時間、ようやく売場や商売の中身のところに着手できる喜び。無論課題は山積みではあっても、1ミリでも前進できることは、自分にとってとても大きい。2008年店長としてのグレードを上げた直後から、海外赴任し、考えてみれば独力で試行錯誤した2年があっという間に過ぎ、原理原則と向き合うことすらなかったが、しっかりと何があるべき姿か考えて、トライアルをし、失敗しながらまたトライアルすることができる環境に身を置くありがたさ。新入社員の育成をしながら、自分も大きな挑戦ができるということはとても恵まれていると思う。これを皮切りに、真の売場王を目指すと心に決めた。特大ホームランか空振り、どちらかで良い。果敢に挑む。

2011/04/07

ホンダのデザイン戦略経営

車に疎いので、車種やその特徴について、そうだったのかというような再発見や驚きはない反面、素直に車のデザインということでなく、デザインマネジメントについて理解を深めることができた一冊。簡単に言うと、モノづくりへのこだわりが、その企業の強みとなり、顧客を魅了し続けるパワーの根源になるということであるが、営業のフィールドで、その商品が本当に魅力的で、早くお客様に提案したいと思ったことがなかったり、そのような熱意が同じ会社のメンバーにすら伝わっていないという状況があるのなら、ホンダで言うところのラグビーアプローチにはなっていないということだと認識できる。モノづくりという視点をヒトづくりという視点に切り替えると、面白いことができそうだと感じた。将来自社の命運をわけるような責務を背負うような、自社の将来を左右するような人材をどのように育て上げるのか、これはつまり「ヒトづくり」であり、商品開発のフローやループとは異なるが、戦略的にアプローチしてゆくことは可能だ。一度この点をつめて、この半年の新入社員教育をデザインしなおしてみる。それとは別途1つだけ現場で取り入れる工夫を、この本から頂いた。

2011/04/02

骨のある男

私は選挙が近くなると駅前で不特定多数に「おはようございます」と愛想笑いする輩に全く興味もないし、この方々が興味を示しているのは、私ではなく、票だ。アイコンタクトもせず、挨拶すること自体、失礼極まりない。だから基本は返事すらしないし、目も合わす気もないが、ずっと駅前に一人立ち続けている人がいる。それも毎朝、毎朝だ。はじめは、不特定多数への挨拶をする人間と思い、気にしていなかったが、とにかく毎朝いるもんだから、気になってしょうがない。いつしか目が合うようになり、こちらも会釈をするようになった。最近ではちゃんと挨拶を交わすようになると同時に、この人がどのような人間なのか興味を持つようになった。私はとことん気になったことは調べる性分なので、徹底的に調べてみると思いがけないことがたくさんわかり、Twitterもやっていることは知っていたので、フォローもしてみることにした。1週間後に選挙を控えて忙しそうだが、このような骨のある男、私は好きだ。明日もきっと駅前に立っているだろう。もしかしたら、私が政治という領域に興味を示したはじめてのきっかけになるのではないかと感じている。

脳回路の輪番停電というおはなし

茂木さんの脳回路の輪番停電というお話は面白い。響いたことが2つある。1つは、「きのこの森」と「たけのこの里」。私は断然「たけのこの里」である。理由は3つあり、①チョコとクッキーの織り成す味のハーモニー、②食感、③「きのこの森」はチョコ部分を分解して遊ぶため、時間を浪費するためだ。響いたことの2つめは、ズバリ「ブレイン・メーター」である。これはわかりやすい。一緒に仕事をしている新入社員と共通言語にしたいと思う。



  • まだまだ余裕(1段階目)

  • テンパッている(2段階目)

  • いっぱいいっぱい(3段階目)⇒この言葉を良く耳にするので既にトップギア?

  • 頭真っ白(4段階目)