2009/02/27

モノ

モノというものは、人間の欲望を掻き立てる、モノを手に入れるには基本的にはお金が必要で、それを手に入れるために人間は強欲になる。しかしモノというものは時として人間の絆をつなぎとめる驚くべき力を秘めている。そこには、その人間にしかわからない様々な思いや記憶が詰まっている。モノは心の拠り所を失ったときの担保になる。よくモノよりもココロという言葉が重んじられるが、ココロを失ったとき、モノは失ったココロをつなぎとめる碇のような役割を果たしてくれる。私はたくさんモノを所有することが嫌いで、コンパクトにシンプルにというのを好み、整理整頓の整理の部分をいつも意識しているが、モノで溢れかえった散らかった部屋には不思議とヒトのココロを温めてくれる記憶が漂っている。そしてなぜ、そのモノがそこにあるのか、そのモノの所有者のココロを察することができる。物欲に乏しい私がはじめてモノの偉大さを感じた瞬間だ。食器を見つめて欲しい、どんな料理がそこに盛られていたか、それを食べるとき、誰とどんな会話をしたか、どんな表情だったのか。そういうふうにモノと接することができれば人間はもっと豊かになれるのだろうに。