ヴェネチア本島の北に位置するサン・ミケーレ島は島全体が墓地であり、1878年(明治11年)に25歳で夭折した緒方惟直の墓があるという記事を読んだ。サン・ミケーレに足を運んだことがあったので、直ぐにその情景が頭に浮かんだ。緒方惟直は幕末の適塾、大阪の蘭学者として高名な緒方洪庵の第10子でヴェネチアに留学した最初の日本人で近代日本への思い半ばで、この地に眠ることになった。あの島に日本との接点があり、このような日本人の物語があったことを思うと不思議な感覚になる。ヴェネチアと言えば、大航海時代は造船で栄えた国で、ドージェという国家元首を軸に国の舵を取っていたことは皆さんも知っていると思う。このドージェを選出する仕組みが実に先進的で法の整備も進んでいたと記憶している。確か私の記憶だと、日本からの視察団の名前が数名古い文献に残っていたらしいので、実際は緒方惟直がこの地を踏むもっと前の時代に日本は、この国から政治の仕組みを学ぼうとしていたに違いない。ふと目にした記事から、思わぬ日本とヴェネチアの接点の発見ができた。またヴェネチアに行きたくなった。