2008/05/29

キャリアパスについて

キャリアパスについて定期的に考えることは大切であるが、昨日はたまたま髪を切りに行ったところで、考えさせられることがあった。彼がこの職業につく動機は、自分で自分の髪を切りたいという非常にシンプルな動機で、独力で技術面以外の知識などは習得したということだった。その後、渡米し現地で髪を切りにいったときに、ほぼ丸刈りにされて依頼、二度とこんな思いはしたくないと苦い経験から、帰国後この道に入る。そしてアメリカへ戻り10年、ニューヨークやロスで仕事をすることになる。好奇心が旺盛で、その後もロンドン、パリとあちこちで経験を積み重ね、ご両親の強い要望で一度帰国、日本でも成功を収め、特に不自由ない生活を送れる状況であった。そこで彼は苦悩することになる。それは日本での働き方がどうしても自分自身なじめないという点もあったそうなのだが(細かい違いはよくわからない)、一番は人生の後半は日本で過ごすことになるという現実が未来に見える。両親の面倒も見なくてはならない。自分は世界のどこでも生活できるし、人生の幕を下ろすこともできるが、親と兄弟がいる日本へ戻ることが自然だと考えた場合、今しかできないことは何かを日々自分に問い続けた。その結果が香港でのキャリアパスだったそうだ。世界で培ったネットワークがあったことで、仕事探し、労働ビザ、居住などの基本的なことは殆ど労力なく事を進めることができたそうだ。彼の強みは思い立ったが吉日で即実行できるところにある。そして何よりもその卓越した技術ではないだろうか。実際彼のようにキャリアパスを描けるのは、決め、という点もあるが、やはり才能という点も少なくはない。



今日のブログチェックで、池田信夫さんが書かれていた、古臭い経営者による新入社員への、あきれたキャリアパスの提示、10年は泥のように働き、次の10年は必死に勉強し、次の10年でマネジメントをせよという時代錯誤なご要望に私も唖然としたが、そのトラックバックも、えっそうなの?というのも目立っていた。年齢とともに創造性が失われるという、それこそ古臭い経営者ばりの表現だ。早い話、鍛錬不足、頭は鍛えれば鍛えるほど強化されてゆく。創造力の源は尽きない好奇心、成功、失敗、人生含めた豊かな経験、情熱と何かを成し遂げる欲望、考える習慣と形にする技術、これに年齢は含まれない。

キャリアパスについては良く考えないといけないと思う。自分は何者で、何を成し遂げたいのか。その問いの文頭に、「この会社で」がつく場合と、「この人生で」がつく場合とでは見据え方が大きく変化する。そうゆう意味でも、この香港での1年は私にとってのキャリアパスに多大な影響を与えるのは間違いない。アップルのスティーブ・ジョブスがパワフルで圧倒的なのは、この文頭の2つがイコールだからだ。梅田望夫さんの著書、ウェブ時代の5つの定理でも紹介されているが、愛するものを全うするということの強さはキャリアパスが人生そのものでもある、という点にあると思う。