2009/04/02

香港のうつ病の実態は

たまたま話題にあがった香港のうつ病について、香港ではうつ病が社会問題となっているということを聴いて少し考えてみた。日本と比較してどうなのか。また世界的に見ても多いのだろうか。多いならば何が原因なのか、仮説を立てるとともに、統計を調べてみた。

定量情報では判断できないが定性情報(体感速度?)でいうならば、先進国並みで増加傾向といえるのではないか。要因も同様に経済的困難、学歴社会という軋轢。以下詳細を…

日本では、うつ病の統計を知ろうとする場合、厚生労働省が三年に一度実施している患者調査にもとづいて算出される数字が参考になる。うつ病疾患において、調査日に病院および診療所で受療した患者の推計数を推計患者数といい、推計患者数を人口で除して人口10万対で表した数を受療率という
。この数字からどれくらいの人口がうつ病疾患かを大まかに把握ができる。私の母も不眠など、精神性疾患を先日まで患っていた。心の病は極自然なことで、特別なものとか、精神病だから狂っているとかというような認識をしているのは時代遅れであり、このような点は欧米はカウンセリングが浸透しており、アジア圏が大きく遅れている分野ではないかと思う。私の母は今ではケロッとしている。

うつ病から自殺へと発展するケースも多く、自殺率も1つの指標となるので、こちらも調べてみたが、先進国の中では、韓国と日本の自殺率が世界で最も高く、10万人当たりの自殺者数は、韓国が24.8、日本が24となっており、ベルギーが21.3、フィンランドが20.3と続く。香港は15当りで、米国は11.1、アメリカ人がタフなのか、カウンセリングの進歩が自殺を防ぐファクターなのかはわからないが、アジアの先進国の数値が軒並み異常値であることは明白である。

香港だけに注目すると、香港の15歳から24歳の青少年の自殺率は、9.5で国際平均よりも低いものの、少女の自殺率は8.7と欧米諸国よりも高いことがわかっている。特に歓塘、黄大仙、大埔地区で自殺率が高く、有名進学校が多いことから進学についての重圧が若者を追い込んでいると判断できる。

昨今の金融危機の影響も踏まえ、香港では昨年10月、特別ホットラインを設置するとともに複数の公立病院にうつ病の専門クリニックを開設している。また政府は抗うつ剤についても十分供給できる体制を整えているようである。

アジア圏では精神病に対するケアシステムが大きく後退しており、潜在的な患者数は多く、社会情勢の影響も受け、今後は増加傾向になることは間違いない。東京の面積の半分に800万人がひしめく香港のような人口密集都市だと尚更、うつ病は際立つ社会問題だろう。情報が瞬時に伝わる香港の人脈ネット網は素晴らしい利点ではあるが、人間の感情の渦の中で人にばかり左右されるような生き方と根も葉もない噂ばかりに神経をすり減らすような毎日を送るのも賢明ではない。妙なPrideとGossipはほどほどにすることだろう。等身大が一番素直な生き方だ。(成長したいときは背伸びは必要)